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安全な食上げのポイント(後編)

国立国際医療研究センター病院 リハビリテーション科
診療科長  
藤谷 順子 先生

 前編に引き続き「安全な食上げのポイント」についてご紹介します。

 

 

観察評価の結果とVF・VEの検査結果を比較して明らかとなった点

 

 観察評価の結果とVF・VEの検査結果を比較すると以下3つの点が明らかとなりました。

 

 1 

誤嚥のサインが全く見られない患者の10%程度は誤嚥が確認された

 2 

「口角の左右非対称な運動」項目は、より注目する必要がある

 3 

咽頭残留は外観評価で判断することは困難である

 

 また、3つの点から以下のような対策が重要と考えられます。

 それぞれの点について詳しくみていきましょう。

 


1.全ての誤嚥を防ぐまたは把握することは困難であるため、誤嚥を防ぐ対策と並行して誤嚥をしても肺炎になりにくい対策を取り入れる(口腔ケア、喀出力の向上、栄養状態の改善)。

 

 口腔ケアによる口腔清掃は、口腔の残渣・残留を回収することで誤嚥性肺炎の原因となる口内細菌数を減少させます。

 また、保湿を行うことで口腔衛生状態を良好に保つことが可能です。しかし、口腔ケアは咽頭まで行き届きません。

 さらに飲み込む力が低下すると咽頭に残渣・残留が生じやすくなるため、口腔ケアと並行して喀出力を向上させる取り組みが必要です。

 また、飲み込む力が低下することで嚥下回数が増え、食べること自体にエネルギーが必要となるためエネルギー効率が悪くなります。

 経験上、咽頭残留が生じやすい患者さんは、やせ(るい痩)がみられる傾向にあります。

 やせの患者さんは低栄養状態であるため、喀出力が低下しているだけでなく、免疫機能も低下していることが考えられるため、誤嚥性肺炎となるリスクが高く、積極的に栄養状態を改善する必要があると考えます。

 


2.口唇、頬、顎、舌の口腔リハビリを積極的に取り入れる

 

 口唇閉鎖はぶくぶくうがいや息こらえを行う際に必要な動作です。

 また、食塊を移動・形成するには頬や舌の協調した動き、しっかり咀嚼するためには顎と頬の機能が重要となりますのでこれらの機能を維持・向上させるために積極的なリハビリを取り入れましょう。

 それぞれの機能と役割については【前編】をご参照ください。

 


3.咽頭残留が生じることを想定して、食事の際は手元調理や交互嚥下、食後の喀出を取り入れる

 

 

 

① 手元調理


 残留しやすい食品は付着性が高い物性のものです。

 調理された食事は、時間の経過と共に物性が変化します。

 例えば、お粥を作る際に硬さや付着性に気を配っていても、盛り付けから数十分経てば表面が乾き、出来上がり直後に比べて付着性が上がります。

 そこで、食卓にみそ汁やお吸い物があれば、少量、お粥の表面にかけて混ぜると付着性が下がり、残留を少なくすることが期待できます(図3)。

 

■図3.手元調理前後のお粥の様子

 

手元調理前後のお粥の物性

(提供:藤谷 順子 先生)

 

 同様に、おかずを手元調理する場合は、ドレッシングやマヨネーズを利用しても良いでしょう。

 

 

② 交互嚥下


 付着性のある食事の場合、嚥下後も一定量の残渣が生じることが多くあります。

 食事の合間にゼリーやとろみ水などを用いて交互嚥下を取り入れることで咽頭がクリアになりやすくなります。

 実際に交互嚥下を行った前後の変化は以下の通りです(図4)。

 

■図4.交互嚥下(とろみ水)を行った際の咽頭残留の変化

交互嚥下(とろみ水)を行った際の咽頭残留の変化

(提供:藤谷 順子 先生)

 

 図4の患者さんは、残留している自覚がなく、空嚥下を複数回行っても咽頭がクリアになりませんでしたが、1j相当のゼリーやとろみ水を用いて交互嚥下を行うと咽頭がクリアになりました。

 普段の食事に交互嚥下を取り入れる際は、5,6口程度食事を口に運ぶごとにゼリーやとろみ水を飲用するような目安で交互嚥下を取り入れると咽頭残留を減らすことができるでしょう。

 エネルギー摂取の観点から考えると、交互嚥下で使用するゼリーやとろみ水は栄養価の高いものを選択することが望ましいと言えます。

 

 

③ うがい 


 うがいの目的は、口腔や梨状窩に溜まった残留物を排出することだけでなく、うがい自体のトレーニング効果(下向きに行う際の体幹の維持機能)を兼ねています。

 うがいを行う際は、なるべく身体全体を下向きに傾ける体制をとり、重力と喀出力を利用すると良いでしょう(図5)。

 

■図5.うがいの方法ぶくぶくうがいの方法

 

 

嚥下調整食のステップアップのために

 

 

 医療従事者は、安全性を追求するあまり、常食から離れた食形態を選択することが多くなりがちです。

 患者さんもしくはご家族は、形あるものを食べたいという要望が強いため、医療従事者とジレンマが生じやすいのも事実です。

 

 医療従事者は、要望を退けることなく、肺炎のリスクを総合的に考え、なるべく形のある食事が提供できるための工夫が必要です。

 以下の表を参考に形ある食事を実現するための方法を検討しましょう(表2)

 

■表2.形のある食事を実現させるための工夫の例

 1 

VFやVE、スクリーニング検査を行い、結果を理解してもらう

 2 

丁寧に咀嚼の指導と訓練を行い、咀嚼能力の向上を図る

 3 

交互嚥下などのテクニックや、手元調理などの工夫を取り入れ、少しでも食べやすい環境を作る

 4 

かたちはあっても食べやすいものを探す

 5 

安全でも満足感の高いものを探す

安全でも満足感の高いものを探す

 6 

口腔ケアの徹底で肺炎リスクを減らす

 

 市販品で食べやすいものを取り入れながら対応することも良いでしょう。

 ゼリー、ドリンクタイプだけでなく、レトルトや冷凍のお惣菜で温めるだけで手軽に食べることができる商品も増えています。

 患者さんの環境や状態に合わせて様々な工夫を検討しましょう。

 

 最後に嚥下調整食の意義について考えたいと思います。

 嚥下調整食は、より多彩に安全な食事が行えるように利用すべきであると考えています(図6)。

 

■図6.嚥下調整食の意義を考える

図6.嚥下調整食の意義を考える

(提供:藤谷 順子 先生)

 

 そのため、食形態を決定する際は、一職種のみで判断せず、多彩な食材を食べることを共通の目的として多職種でチームアプローチを検討すべきです。

 嚥下調整食を利用して、多彩な食材を摂取しながら、さらに嚥下リハビリテーションが推進されることを期待しています。

 

参考

 

国立国際医療研究センター病院

嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発

https://www.hosp.ncgm.go.jp/s027/202010_guideline_development.html(2022年11月現在)

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