「人生100年時代」と言われる昨今。平均寿命が延びた分、誰しも健康でいられる期間を長く保ちたいと考えるのではないでしょうか。しかし、歳をとって身体の調子が以前と比べてよくないと感じていても、年齢が原因の衰えは避けようもない、と諦めてしまう人が多いことも事実です。
今回は、1日でも長く、元気に暮らしを楽しむために、介護予防の方法についてご紹介します。
フレイルとは、要介護状態の一歩手前
年齢を経て、身体や心、社会的な活動が弱くなった状態を、フレイルと言います。フレイルは要介護状態になる前の段階として位置づけられています。
フレイルを見過ごしたり、放置したりすると要介護状態に移行するだけでなく、社会的にも孤立し、生きがいや自分らしさを見失ってしまう場合もあります。
しかしこのフレイルは、早く気づいて対処することによって、克服し、その後も心掛け次第で予防することができるのです。
健康寿命を延ばす鍵、それはフレイル予防
厚生労働省によると、2021年の調査時点で日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳。また2016年時点での健康寿命は、男性が72.14歳、女性が74.79歳と発表しています。
つまり男性は平均で約9年間、女性は平均で約13年間、日常生活に制限のある生活を送っているということになります。
健康寿命を延ばし、元気で過ごす期間を長くするために、鍵となるのがフレイル予防です。
もしかして、フレイル?
・食事がおいしいと感じない
・何をするにもおっくうだ
・痩せてきた
もし、上記のことを感じていたら、フレイルを疑ってみる必要があります。その場合は下記の項目をチェックして自分の状態を確認してみましょう。
●あなたの現在の健康状態はいかがですか?
Aよい・まあよい・ふつう B あまりよくない・よくない
●毎日の生活に満足していますか?
A満足・やや満足 Bやや不満・不満
●1日3食きちんと食べていますか?
Aはい B いいえ
●半年前に比べて固いもの(例:さきいか、たくあんなど)が食べにくくなりましたか?
A いいえ B はい
●お茶や汁物などでむせることがありますか?
A いいえ B はい
●6カ月間で2〜3kg以上の体重減少がありましたか?
A いいえ B はい
●以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか?
A いいえ B はい
●この1年間に転んだことがありますか?
A いいえ B はい
●ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか?
A はい B いいえ
●周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われていますか?
A いいえ B はい
●今日が何月何日かわからない時がありますか?
A いいえ B はい
●あなたはたばこを吸いますか?
A 吸っていない・やめた B 吸っている
●週に1回以上は外出していますか?
A はい B いいえ
●ふだんから家族や友人と付き合いがありますか?
A はい B いいえ
●体調が悪いときに、身近に相談できる人がいますか?
A はい B いいえ
すべての答えが「A」になるよう定期的なチェックがおすすめです。
身体・こころ・人とのつながりが、弱くなる
フレイルは、身体の機能だけではなく、精神や心、社会的なつながりが弱くなってしまうことを指します。こうした問題を抱えると、自立障害や命に関わる重大な健康障害を起こすことが懸念されます。
多くは社会的なつながりが弱くなることからはじまるとも、言われます。
身体的には健康でも、人とのつながりがめんどうになって外出の機会が少なくなると、歩く機会も減り、運動不足による体力の衰えにつながります。そうなると次第に孤立し、心のバランスを崩すリスクもでてきます。
「身体」「こころ(認知)」「社会性」といった3つの側面は、常に関係性があるのです。
フレイル予防のポイント
フレイルの予防は、毎日の生活習慣と結びつけて取り組みます。
そのポイントは、「栄養」「身体活動」そして「社会活動」の3つです。
●栄養 〜食事の改善〜
栄養バランスのとれた食事を、毎日ほぼ同じ時間に3食しっかり食べましょう。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、身体をつくる良質なタンパク質をしっかり摂る必要があります。また、お口の中を清潔に保つことも大切なので、定期的に歯科医師に診てもらうなど、口腔ケアも欠かさずにしましょう。
●身体活動 〜ウォーキング・ストレッチなど〜
筋肉は、年齢に関係なく運動することで発達します。食欲はもちろん、運動によって心の健康も保つことができます。もし週に1度の外出なら、2度の外出に増やすなど、今より運動の機会を意識的に増やしましょう。
●社会活動 〜趣味・ボランティア・就労など〜
好きなことや、人の役に立っていると実感できることは、長続きします。自分にあった活動を見つけましょう。
BMI 21.5kg/㎡未満は、要注意
高齢者の体重減少は、健康が危ぶまれているサインです。
65歳を過ぎてから、病気にかかっているわけでもないのに痩せてきたと感じたら注意が必要です。
BMIは、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。
この数値が21.5kg/㎡未満になると要注意です。
体重kg ÷ (身長m)2 = BMI
たとえば体重55kgで身長1.6m(160cm)の場合、
55÷(1.6×1.6)= BMIは約21.48 kg/㎡
この例では、そろそろ注意すべきだと判断することができます。
高齢になったら、意識すべきは、フレイル予防
若い頃は、軽快で健康的なイメージのある、すこし痩せ型をめざした人も多いことでしょう。
メタボ予防が習慣になっている場合は、歳をとって痩せてきても危機感を感じにくい場合があります。
また高齢者の多くが膝や腰に痛みを抱えていて、膝や腰にかかる負担が減って楽になるからと、食事を減らす人もいます。
しかし高齢者のダイエットは危険です。 なぜならフレイル予防の観点から言えば、運動に支障のない程度に、ややふくよかな体型が理想的だからです。
BMIの数値を22〜24.5 kg/㎡を目安に維持していくことがフレイル予防を続けていく上で大切です。
フレイルを予防するためには、良質なたんぱく質をしっかり摂るなど、栄養バランスのとれた食事を、3食欠かさずしっかりと摂ることです。
そして、今よりもうすこし体を動かすよう意識することや、自分にあった取り組みを見つけて人との関わりを持ちながら社会で活動することも重要です。
フレイルについてよく理解していると、その兆候にも早く気づくことができます。早期発見、早期対策によって回復をめざし、その後も予防を続けて健康寿命を延ばしましょう。
参考:
厚生労働省 令和2年簡易生命表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life20/dl/life18-02.pdf(2021年12月現在)
内閣府 平成30年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/gaiyou/s1_2_2.html(2021年12月現在)
厚生労働省 令和元年度食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業 パンフレット「食べて元気にフレイル予防」
https://www.mhlw.go.jp/content/000620854.pdf(2021年12月現在)
西東京web 「フレイル」=いつまでも元気に暮らし続けたい! そのために今知っておくべき注目ワード!
https://www.city.nishitokyo.lg.jp/smph/kenko_hukusi/koreisyasien/frailyobo/frail-setumei.html(2021年12月現在)
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