年末年始は家族や親せきが集い、食卓を囲む機会が多くなる季節です。
楽しい反面、食べものを喉に詰まらせ救急搬送される事故が増えるのも、この時期に多いのではないでしょうか。
食べものが原因となって起こる窒息事故は高齢者に多く、厚生労働省の人口動態調査によると、不慮の事故による死亡原因のなかでは交通事故を上回り1位という結果になっています。
年齢とともに口内や喉の機能などに変化が生じ、「かむ力」や「飲み込む力」が弱くなる高齢者の方々に、おせちやお正月によく食べる料理を美味しく楽しんでいただくために、知っておくべきポイントや注意点についてご紹介します。
喉に詰まりやすいお餅は、注意が必要
近年では少なくなりましたが、年末になると自宅で餅つきをするという習慣が残されている地域もあるのではないでしょうか。
餅つきまでは手が回らないけれど、お餅はお正月の楽しみのひとつ、というご家庭も多いと思います。
お雑煮はもちろん、焼いたお餅を海苔で巻いたり、きな粉をつけたり、お好みで美味しく味わっている方も多いでしょう。
けれど残念ながら、お餅を喉に詰まらせる高齢者の窒息事故は、お正月時期になると毎年といっていいほどニュースになります。
お餅に限らず水分量が少ない食べものは注意が必要です。同時に一口の量が、その人の「かむ力」や「飲み込む力」に合っていないときも、喉詰まりを起こしてしまいます。
「ごっくん」と食べものを飲み込むタイミングと気管がふさがるタイミングがずれてしまうと、誤嚥を起こし、反射的に食べものを出そうと「むせ」が起こります。
たとえばお雑煮のような汁物は、汁と具材の大きさや固さが異なるため喉を通過する速度に差が出ることで、誤嚥を引き起こすといわれています。
とくにお餅は喉に張りつきやすい点でも注意が必要です。おせち料理は全体的に水分量が少ないので、誤嚥や窒息を起こしやすいといえます。
飲み込む力に合わせて一口の量を調整したり、飲みこんだ後にもう一度「ごくん」と飲み込む動作をしたり、食事のペース配分を変えるなどして、喉詰まりを回避するよう意識することも大切です。
飲み込みにくさ、味付けの濃さにも、注意が必要
新しい年を迎え、気持ちも新たにいただく「おせち料理」。
お重に彩りよく詰められた、黒豆や田作り、たたきごぼうなど、一つひとつの料理には、五穀豊穣や子孫繁栄といった人々の願いが込められています。
日本の文化が凝縮したおめでたい料理ではあるものの、咀嚼力(かむ力)や嚥下力(飲み込む力)が衰えている高齢者にとっては、飲み込みにくさと同時に、味つけの濃さも気になるポイントです。
歯ごたえや弾力のあるものに気をつけて
だて巻きや栗きんとん、黒豆などは、かむ力が低下していても比較的食べやすい料理ですが、昆布巻きやたたきごぼうなど歯ごたえのあるもの、タコやイカ、きのこ類など加熱してもやわらかくなりにくい食材は、事故の原因となることがあります。
かまぼこやこんにゃくもお餅と同様に弾力があり喉に詰まりやすいので、隠し包丁を入れたり、小さく切ったり、素材に合わせてだし汁などの水分を加えたり、とろみをつけるなど食べやすくするなどの工夫が必要です。
「甘い」「しょっぱい」「酸っぱい」は控えめに
もともと保存食でもあるおせち料理は、味つけが濃く塩分や糖分が高めのものが多いのも特徴です。
甘くて美味しい栗きんとんや黒豆なども、糖尿病などの持病がある人は要注意です。
紅白なますのように酢をしっかり使った料理は、食べやすくするために糖分が意外と多く使われているということも知っておくと良いでしょう。
また、酢を使った料理は、どうしてもむせやすいものです。
飲み込む力が低下している人が一度むせると、誤嚥性肺炎の原因にもなってしまうので、酢の量を控えめにするなど味つけに工夫が必要です。
「食べやすさ」や「飲み込みやすさ」を意識した調理や味つけは、おせち料理に限らず日常の食事にもいえることなので、ぜひ日頃からの介護食づくりの参考にもしてください。
窒息事故を防ぐために
お正月にお餅を食べる習慣は、平安時代、健康と長寿を祈願して宮中で行われた正月行事「歯固めの儀」に由来するといわれています。
健康長寿を願うお餅で、喉を詰まらせてしまっては本末転倒ですので、食べるときはかみやすく飲みこみやすいよう小さく切って、お茶や汁物などを飲んで喉を潤してから口に入れましょう。
とくに高齢者には無理なく食べられる一口の量を口に運び、ゆっくりとよくかんでから飲み込むことを意識してもらうのがおすすめです。
安心して食事を楽しめるよう気を配り、まわりも一緒に見守りましょう。
●喉詰まりを防ぐ大切なポイント
・食べものは食べやすい大きさに小さく、細かく切る
・無理なく飲みこめるよう口に入れる量は少しずつ
・ゆっくり、よくかんで食べること
・適度に水分をとることを忘れずに
・口に食べものを入れているときは話さない
いざというときの応急手当
食べものが詰まって呼吸が苦しくなると、ほとんどの人が両手で喉をつかむ「チョークサイン」という行動を示します。
「チョークサイン」が見られたら、窒息が起こっていると疑っていいでしょう。
高齢者のなかには、サインを出せず食事中にうなだれたり、真っ青になってしまったりということもあります。
このような窒息事故の疑いが見られたら、即座に119番に通報しましょう。 喉詰まりを起こしてしまったときには、呼びかけに反応するか、声が出るかどうかを確認して、声が出る場合は、できるだけ咳をするよう促して詰まったものを出させるようにしましょう。
咳をすることは、詰まりを除去するためにもっとも有効な手段です。このとき、まわりの人が焦ってやってしまいがちな「水を飲ませること」はNGです。
お餅が詰まっているのが食道ではなく気道の場合、水を飲ませても食道を通って胃に入るだけで、お餅を取り除けないうえに、より奥に押し込んでしまうことにもなりかねません。
お餅がどこに詰まっているのかわからない状態で水を飲ませるのは厳禁です。 運よく詰まったものが取れた後は、必ず医療機関を受診しましょう。
呼びかけに反応しない、声が出ない、咳が出ない、また詰まったものが出てこないときにも、すぐにかかりつけ医や救急車などの医療機関へ連絡してください。
近年、安全性や食べやすさへの配慮はもちろん、季節を感じる料理など食事を楽しむ工夫をちりばめた介護食や配食サービスが増えています。
なかでも、日本ならではの食文化が凝縮した、彩り豊かなおせちは、一年の始まりであるお正月の食卓に欠かせない料理です。
「あいーと」では、かむ力が弱くなった高齢者の方に向けて、ふわっと溶けるやわらかさはそのままに、目にも美味しいおせち料理を毎年ご用意しています。
お正月らしく華やかな雰囲気に包まれて、ご家族そろってお正月のひとときをぜひ「あいーと」のおせち料理と一緒に楽しんでください。
※かむ力が弱くなった方向けの食事「あいーと」のおせち 使用上の注意
本製品のご使用に当たっては予め医師・歯科医師等の専門家の指導に従ってください。嚥下機能が低下した方は誤嚥・窒息等の危険性がありますので、ご使用をお控えください。
【参考】 消費者庁「年末年始、餅による窒息事故にご注意ください!―加齢に伴い、かむ力や飲み込む力が衰えてきます。小さく切って、少量ずつ食べましょう」(令和2年 12 月 23 日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/consumer_safety_cms204_20201223_01.pdf(2022年10月現在)
食品安全委員会「食べ物による窒息事故を防ぐために」
https://www.fsc.go.jp/sonota/yobou_syoku_jiko2005.pdf(2022年10月現在)
厚生労働省:平成21年度「不慮の事故死亡統計」の概況:不慮の事故による死亡の年次推移
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/furyo10/01.html(2022年10月現在)
東京消防庁<安全・安心情報><日常生活における事故情報><STOP!高齢者の「窒息・窒息誤飲」 >
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/stop/stop-old03.html(2022年10月現在)
嚥下機能が低下した方はご使用をお控えください
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